10月中に読み散らかしたテキストの備忘録です(覚えている分だけ)。今月は全体の冊数は少なめ、SFちっくな本が多め。
攻殻機動隊 灼熱の都市 遠藤明憲
攻殻機動隊の、原作世界準拠のオリジナルストーリーでした。とはいえ素子さんやタチコマ達の雰囲気はアニメに近いかな?という印象です。それにしてもゴーストとAIの差はどこなんだろう。人形使いが言うように「曖昧さ」なんだろうか。
攻殻機動隊 stand alone complex 虚夢回路 藤咲淳一 徳間デュアル文庫
こちらは攻殻機動隊の、アニメ版準拠オリジナルストーリーです。うん、全体的にしっかりアニメのイメージ。雰囲気はsolid state society ぽいなぁと思って読んでいました。設定がいろいろ書いてあって良かったです。薄らぼんやりとしかわからないまま視聴していたからありがたい。
神狩り 山田正紀 ハヤカワ文庫
初、山田正紀。五十年前のSF小説です。主人公が機械翻訳学者で、ある単語に対して一番強く結合する単語を返す「連想電子計算機」を開発しているんですよね。あれ?これいつの本だっけ??って、奥付を二度見しました。識者に聞いたら、1960年代の時点で基本の概念と理論としてはだいたいできていると思います、とのことだったので、そんな流れでできた設定だったのでしょう(たぶん)。
謀殺のチェスゲーム 山田正紀 ハルキ文庫
山田正紀、二冊目。消えた兵器をめぐる、ゲーム理論家どうしの頭脳戦×規格外どうしの物理戦×ヤクザvs巻き込まれ(でもないか)カップルの追いかけっこ。カップルが盤面ひっくり返して大勝利、と見せかけて、実は初めにカップルの引き起こした事件が最後まで影響するので先手必勝とも言えるかもしれない。面白かったです。キャラと言う面では清涼剤担当の弓子さんと萌え担当の佐伯さんが好きでした。弓子さんのキャラ、誰かに似ていると思ったら創竜伝の茉莉さんですね。この小説、若干コメディーな感じで(TRICKとか古畑任三郎のノリで)映像化されないかな。無理かな。
火神を盗め 山田正紀 ハルキ文庫
山田正紀、三冊目。窓際族サラリーマンによる原子力発電所への潜入物語。面白かった。一気に読んでしまいました。どこかの書評で「サラリーマンミッションインポッシブル」というのを見かけましたが、言い得て妙だと思います。底本が83年とありますので、サラリーマン時代真っ盛りですね。初めの方で、明らかに掛け言葉なのに言及がなかったので、あれ、ひょっとしたらこれ、オチ、こうよね?と思っていたらやっぱり来た。様式美である。フラグ回収も様式美であった。回収が早すぎてちょっと愕然としましたが…でも、基本的にハッピーエンドで非常によかったです。窓際族の未来に幸あれ。あとがきのエピソードもちょこっと笑って、最後の文章ですこし真顔になりました。
で、書いてて気づきましたが、盗んでないよね?どっちかというと壊してるよね?
バナナ剥きには最適の日々 円城塔 ハヤカワ文庫
初、円城塔。「わからなさがおもしろい」、うーんなるほど。どこまで真剣に考えるかちょっと迷って、迷うひまかあれば真剣に考えようと思い真剣に考えるも、わからない。10代の頃に読んでいたらど嵌りしていただろう。「捧ぐ緑」「equal」「コルサタル・パス」が特に好きでした。コルサタル・パスに関しては、攻殻機動隊を読んだあとだったので、わりかしイメージがダブりつつ読んでしまいました。これ面白いんだけど、続編はないのかなぁ。そして、私は情景が自力で想像できる小説が好きなんだな。でも、逆に、詩なら直接的なイメージを掴みにくくてもいけるんだな。「墓石に、と彼女は言う」は申し訳ないほどにわからない小説だったのだけれど、直線が円に触れてきらきらと傾いていく詩だと思うとすごく好きでした。