雨雲連れのおぼえ書き

忘れっぽい人の記録帳

たたきの考察(妄想)

先日、飲みにいきました。

焼き鳥と魚の美味しいお店で、久々に訪れたため、焼き鳥の盛り合わせ、刺身の盛り合わせ、お気に入りの小鉢、一品などをひと通り頼みました。

でもまだ食べたいよね、お刺身何か頼んでよ、と言われ、お品書きを改めて眺めました。

盛り合わせに入っていたはまちが美味しかったなぁ、でも被るのは悔しいから単品で頼むのはやめよう、とすると、まぐろの山かけ、しめさば、かつおのたたき、あじのたたき......

 

ここで、あれ?と思いました。

かつおのたたきで私が思い浮かべたのは、外は香ばしく焼かれ、でも中は透き通った深い赤の、もっちりとしたかつおの細長い皿に綺麗に盛られた姿でした。

でも。あじのたたきでは、小鉢の中で葱や生姜やみょうがとともに天盛りにされた、細かく刻まれた薄ピンクの鯵しか浮かびません。

あれ、あじのたたきってなんだっけ?なめろうと勘違いしている?

気になってしょうがないので、あじのたたきを頼むことにしました。

 

たたき、という単語からすると、なめろうのほうがたたきっぽい。

でもカツオのたたきはカツオのたたきであって、さすがに勘違いしていることはなさそう。

でも、たたききゅうりやたたきごぼうは間違いなくたたくし......などとあれこれ考えているうちに、「はい、あじのたたきです」と皿が目の前に置かれました。

 

置かれた皿には、刺身よりも小さく切られたあじが小口切りの葱と和えたものがこんもりと盛られていました。それは私が一番初めに「あじのたたき」で思い浮かべたものとそうそう違わず、勘違いしていたわけではないことに少し安心しました。

でも、問題は解決していません。じゃあ、たたきってなんだろう?

そこで、かつおのたたきとあじのたたきの共通点をあげてみることにしました。

・どちらも夏に美味しい

でも、夏に美味しい魚が「刺身」ではなく「たたき」と呼ばれるわけではない。実際に鯵は刺身でも食べる。

・どちらも刺身に一手間加えたものである

これは妥当そうだが、同じく刺身に一手間かけたものであるまぐろ山かけ、しめさば、鯛の昆布締めは間違っても「たたき」のカテゴリに入らない。

うーんと考え込んでいるうちに、あじのたたきはほとんどなくなっていました。

慌てて一切れを一緒に運ばれてきた小皿にとり、口に運びます。

「あ、ポン酢だ」

小皿にはポン酢が入っていました。さっぱりとして美味しいです。

「そうか、ポン酢と薬味だ!」

かつおのたたきとあじのたたきの共通点。それは、どちらもたっぷりの薬味と酢醤油ないしポン酢でいただくものだ。この「薬味」と「酸味」がたたきの共通点なのではないか。たたきごぼう胡麻で和えて酢醤油で味をつけるし、たたききゅうりも薬味たっぷりだ。きっとそうだ!

すっきりした気分で、あじのたたきで呑むお酒は美味しかったです。

 

さて、この文章を書くにあたって、あらためて「たたき」をwikipediaで引いてみました。

そこにはひとこと、こうありました。

「現在はいくつかの異なる調理法がたたきと呼ばれてあり、これらの間に関連性はない」(たたき - Wikipedia)